202010/06
新型コロナウイルス感染症の拡大で外出自粛が呼びかけられ、高齢者の転倒リスクのアップが心配されています。家に閉じこもることで筋力が低下し、ちょっとしたことでも転びやすくなるからです。
高齢者にとって転倒は怖いものです。転倒による骨折で寝たきりになり、要介護の状態になることは決して少なくありません。また、高齢者の外出自粛が長く続けば、要介護状態の一歩手前である「フレイル」になるリスクも高まります。
そこでこの記事では、高齢者の健康維持に最適な体作りの基本をご紹介します。
新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛で、高齢者の身体活動時間が大幅に減っています。国立長寿医療研究センターの調査によれば、新型コロナウイルス感染症の拡大前後で、高齢者の身体活動時間は1週間あたり約60分(約3割)減少していることが明らかになりました。
身体活動時間の減少は筋力低下につながります。筋力低下は、高齢者の転倒の大きな要因となっています。
高齢者にとって転倒は怖いものです。転倒で大腿骨などを骨折すれば、高齢者は治るのに時間がかかるため、そのまま寝たきりの要介護状態になってしまうこともあります。またけがをしなかったとしても、転倒の怖さを経験すると、自分が動くことに恐怖心をもったり自信を失ったりして体を動かさなくなってしまい、さらなる筋力などの低下を招くこともあります。
高齢者が家に閉じこもりきりになることは「フレイル」のリスクもあります。フレイルとは、健康な状態から要介護状態へ移行する中間段階のことです。
家に閉じこもりきりになることで、筋力などの身体機能が低下するほか、認知障害やうつ病などの精神・心理的問題、あるいは孤立や孤食などの社会的問題が発生しがちとなります。それらが複合的に作用することにより、要介護状態へと移行してしまうのです。
高齢者のこのような問題を避けるためには、外出自粛が続いているときでも、健康維持のための体作りを適切に行うことが大切です。また、転倒を予防するため、手すりを取り付けるなど自宅の環境整備も必要となってくるでしょう。
それでは、健康維持に最適な体作りの基本について見ていきましょう。ここでは、自宅でもできる簡単な運動、および運動以外の日常活動でも筋力低下を避けられることをご紹介します。
自宅で運動をする際には、まずストレッチをします。その上で体調に合わせてできる運動を無理なく行います。一日に3回くらい、全体で20分~60分ほど運動するのが適当です。運動を楽しみながら継続するため、好きな音楽やラジオなどを聞きながら行うのもよいでしょう。
改めて運動するだけではなく、日常の生活活動を行うことでも筋力低下を避けられます。運動や活動の強度は、安静時を1とする数値「メッツ」で表し、下の表のようになります。
【主な生活活動のメッツ表】
【主な運動のメッツ表】
上の表を見ると、普通歩行や家財道具の片付け、子供の世話、台所の手伝い、大工仕事、梱包などのそれほど激しいとも思えない生活活動が、ボウリングやバレーボール、社交ダンスなどの運動強度とおなじ「3.0メッツ」であることがわかります。
階段をゆっくり上ったり動物と遊んだりは卓球やパワーヨガ、ラジオ体操などとおなじ「4.0メッツ」、苗木の植栽や農作業などはテニスや水中歩行とほぼおなじ「4.3メッツ」となっています。
日常の生活活動を積極的に行うことが、いかに運動として有効で、筋力低下を防げるかがこれでわかると思います。
運動の強度であるメッツに加え、「エクササイズ(Ex)」の単位を使えば、身体活動量を計算することもできます。エクササイズはメッツに時間数をかけたものです。
たとえば、普通歩行の運動強度は3.0メッツです。これを20分間(=1/3時間)行った場合には、
3.0メッツ × 1/3時間 = 1.0エクササイズ
の身体活動量となります。
筋力低下を防ぐためには、1週間に10~23エクササイズの身体活動を行うのが良いとされています。運動と生活活動を組み合わせ、高齢者の身体機能向上を無理なく図っていきましょう。
以上のように、新型コロナウイルス感染症の拡大にともなう外出自粛で、高齢者の筋力低下による転倒を防ぐためには、運動と生活活動を組み合わせ、身体機能の向上を無理なく図っていくことが重要です。しかしそのほかに、自宅の環境整備をしっかり行い、高齢者の転倒を物理的に予防することも必要です。
住み慣れた家であっても、高齢者は身体機能が低下しているために、ちょっとしたことで転倒してしまうことがあります。環境整備の具体例は以下のようなものとなります。
・玄関や廊下、階段、洗面所、浴室、トイレなどに手すりを取り付ける
・カーペットや敷居などの段差をなくす
・マットや電源コード、延長コードの滑りやすいものを廊下や居室に置かない
・転倒は特に夜間の足元が暗いときに起きやすいため、寝室からトイレまでの動線にセンサー式の足元灯を設置する
手すりの取り付けなどは業者に頼まなくても、自分で工事(DIY)することもできます。手すりなどの材料の購入は、2,200円以上の購入で送料が無料になる「建材サルベージ」を利用するのがおすすめです。
新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛により、高齢者の筋力低下による転倒が心配されるようになっています。転倒で骨折すれば、そのまま寝たきりになってしまいかねません。
筋力低下を防ぐためには、自宅でできる簡単な運動と生活活動とを組み合わせ、高齢者が適切な量の身体活動を維持できるよう配慮しましょう。また、手すりを取り付けるなどの環境整備をしっかり行い、転倒を物理的に予防するのも重要です。
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