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201706/02

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転倒事例を調査した研究者が伝えたい対策とアドバイス

自宅で転倒する高齢者は、どれぐらいいるのか。内閣府の「高齢社会対策に関する調査」では10%程度となっており、10人に1人は自宅で転倒している。そして、高齢者の場合は重篤なケガとなってしまうことが多い。

このような状況をどう改善すればよいのか。今回、転倒防止について研究されている東名古屋病院の饗場 郁子(あいば いくこ)先生にお話をお伺いした。

 


饗場 郁子 (あいば いくこ)

プロフィール:東名古屋病院 リハビリテーション部長・第一神経内科医長。名古屋市西区に生まれ、名古屋大を1987年に卒業。初めは心療内科を志したが、病気の原因が精神ではなく脳にある場合もあることから、「治せる病を見落としたくない」という思いで神経内科を選択。春日井市民病院、名古屋大学を経て94年からは東名古屋病院に勤務。

 

転倒防止に関する研究を始められたきっかけは何でしょうか。

私は今、東名古屋病院に勤務していますが、この病院では「進行性核上性(しんこうせいかくじょうせい)まひ」の患者さんが転倒されるケースがよくありました。

「これは転倒のことをちゃんと調べないと」と考えたことから、転倒防止の研究を始めたのです。

そこから、対象を要介護者にまで広げて転倒予防についての研究を発表しました。

饗場先生が勤務する「独立行政法人 国立病院機構 東名古屋病院」

 

要介護者を対象とされた理由は何でしょうか。

健常な高齢者の転倒予防に関する研究は「要介護予防」という目的からすごく進んでいて、対処方法についてもかなり研究結果が示されています。

しかし、すでに転びやすくなってしまった神経内科の患者さんや要介護の方々については、どのように対策をして、どう予防していくのかについては研究結果が乏しいのです。

その理由としては、患者さんやそのご家族も諦めてしまっていること。そして主治医も「転倒は病気の症状だから仕方がない」と思ってしまう傾向があるのです。

 

研究の結果、分かったこととは何でしょうか。

結果として要介護の方々についてもちゃんと転倒事故は減らせることが分かりましたし、どうやって減らせばいいのかのノウハウも分かってきたのです。

これは患者さんにも協力して得た「宝物の情報」です。
この情報を、医療従事者はもちろんですが、患者さん自身にも把握してもらうことが重要だと思いました。私たちが病院内で転倒防止対策を整えていても、帰宅されたり外出されたりした際に転んでしまう方もいるからです。

そこで、その研究結果は、患者さんに役立ててもらえるようホームページにも掲載しています。
そのほかにも、転倒防止に関する冊子やDVDの作成、そして転倒防止に関する川柳を募集するなどして、より多くの方に転倒防止に関心を持ってもらえるよう活動しています。

 

転倒につながる一番の理由は何でしょうか。

転倒に至るにはさまざまな理由があり、一概には言えません。

患者さんの背景によるのです。体に関する要因として、運動要因、感覚障害、認知障害、それに加えて環境要因が絡んできます。

 

ではどういった対策が有効でしょうか。

過去に転んだことのある方は「どういう状況で、どういう理由で転んだか」をしっかり振り返ることです。

そうすることで、例えば「こういうマヒがある。ではどこに手すりを付けた方がよいか」「照明はどうすればよいか」「物を置く高さはどうすればよいか」「どういう開け方の扉にすればよいか」といった解決策を考えることができるのです。

患者さんの生活する場で対策するがとても重要だと思います。
私たちは「退院前訪問指導」といって、退院前にお宅にうかがって、患者さんに実際に動いてもらって、どういう危険があるか調べる場合もあります。
そこに住宅の改修業者も来てもらって、この方の場合はこことここに手すりをつけてください、とか、そういうことを実際に患者さんが生活する現場で確認しながらやっていくこともあります。

介護保険による住宅改修費のサポートがありますので、そういったこともしっかり利用して、できるだけ事故を減らし、安全に生活できるよう考えるべきだと思います。

 
 

※饗場先生による調査資料、転倒対策を少しご紹介します。

<饗場先生による調査結果>
「転んでケガをしないために~重篤なケガに至った転倒事例から学ぶ予防対策~Ver.2」

平成21年度国立病院機構EBM研究「医療・介護を要する在宅患 者の転倒に関する多施設共同前向き研究(J-FALLS)」(研究責任者 饗場郁子)では、介護保険を利用している全国1445名の在宅患者さんにおける転倒と転倒による重篤なケガ(骨折・入 院を要するケガ・死亡)を1年間前向きに調査。

その結果、転倒は806人(58.3%)、重篤なケガは94人 (6.6%)で生じていました。どのような状況で転倒による重篤な ケガが生じたのかについても、詳しく調査をいたしました。(※患者さんの状況については資料を確認ください。)

 

<ケース:1>
左手に受話器を持ち、右手には何も持たずふらついて右に倒れ座椅子で顔を打った。

事故結果 脊椎の骨折
対策
  • 在宅での環境に合わせた歩行練習
  • 筋力強化や姿勢を保持できるようにバランス練習を行う
  • 転倒を誘発する内服薬の見直し
  • 支えとなるような手摺りの設置や家具の配置換えを行う
  • 行動範囲の整理・整頓、障害物の除去を行う

 

<ケース:2>
トイレに行こうとして、トイレ前にて バランスを崩し転倒した。

事故結果 大腿骨頚部骨折
対策
  • 在宅での環境に合わせた歩行練習
  • 姿勢を保持できるようにバランス練習を行う
  • 慌てないように早めにトイレに行くことを習慣化する
  • トイレやトイレまでの移動範囲内に手摺りを設置する
  • トイレの扉を開閉しやすいように改修する
  • トイレにすぐ行けるように、生活スペースをトイレの近くに移す
  • 夜間はポータブルトイレか尿器を使用する

 

<ケース:3>
椅子に座って洗濯物をたたんでいて、 物をとろうとして上向きに転んだ。

事故結果 下肢の骨折
対策
  • 何かをしながら、他の事も同時に行わないようにする
  • 姿勢を保持できるように座位・立位バランス練習を行う
  • 洗濯物はテーブルの上でたたむようにする
  • よく使うものは、手の届く範囲にまとめて置いておく
  • 背もたれ肘掛けつきの安定した椅子を使用する
  • 周囲に掴まることが出来るような家具などを設置する

 

患者さんの生活環境を見て、どう思われましたか?

患者さんの生活環境を数多く見てきたわけではありませんが、例えばお風呂やトイレにおいて、あるべき場所に手すりが付いてなかったりすることがあるように思います。

あとは気になることといえば、サービス付き高齢者住宅など民間の高齢者向けの施設では、転倒事故データの収集をどれぐらいしているのだろう、と。
そういう施設の利用者さんは要介護の方が多いので、やっぱりデータを集めて対策を立てるのは必要だと思います。施設の特徴や患者さんの傾向などによって対策も違うので、転倒事故に対してしっかり「振り返り」をすることが重要だと思います。

そしてその結果は共有して、次の転倒予防に役立てる。こういうことの繰り返しが重要なのです。

 

自宅転倒について関心がある方にメッセージを。

よく転ぶ方でも「転ぶのは仕方がない」と思わないでほしい。

転ぶには原因があるので、その原因を突き止めて対策を立てることで、かなり減らせる転倒がある、ということを皆さんに伝えたいと思います。

そのために私ども医療従事者の力を使って頂いて、どうすれば転ばないですむかをあきらめないで前向きに考えてほしい。

 
 

<紹介>
 
■饗場郁子先生著書


「多職種で取り組む転倒予防チームはこう作る!」(新興医学出版社)

 

「転ばぬ先のこの一句『転倒防止』日めくり」(PHP研究所)

 
 

■転倒予防川柳 | 独立行政法人 国立病院機構 東名古屋病院
http://www.tomei-nho.jp/prevention/

 

■転ばない生活講座 | 独立行政法人 国立病院機構 東名古屋病院
http://www.tomei-nho.jp/prevent/course/
(前述、転倒防止に関するDVD)

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