201702/01
突然ですが、皆さんは「健康寿命」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」とされています。具体的には、歩く・食事をする・トイレをするといった日常的な動作が自分自身で行え、さまざまな判断や意思疎通が自分でできる(=認知症などにかかっていない)状態のことです。「健康で人間らしい生活がおくれる寿命」ともいえます。
平成22年に厚生労働省などが行なった調査によると、日本人の平均寿命は男性が79.55歳、女性が86.30歳です。これに対して、健康寿命は男性70.42歳、女性が73.62歳。平均寿命と健康寿命との差が、男性では9.13年、女性になると12.68年もあります。
これは言い換えると、男性は70歳、女性は73歳を過ぎたころに、病気・ケガや認知症などによって、自力で日常生活を送ることが困難になり、残りの9年ないし12年ほどは他人の介護が必要だったり、寝たきりとなったりする、ということを表しています。
いかがでしょうか。少し衝撃的なデータで、ショックを覚えた人も多いと思います。日本では「人生80年」と言われるようになって久しいですが、自分のやりたいことができ、好きなものを食べ、行きたいところへ行けるのは、70歳を過ぎたころまでということになるのです。
では、この健康寿命を延ばすには、どうしたらいいのでしょうか?ここでは、大きく5つのポイントに分けて紹介したいと思います。
健康の基本は、なんといっても食生活から。野菜や肉・魚などをバランスよく食べて、栄養が偏らないようにしましょう。また、暴飲暴食も禁物。1日3回、なるべく同じような時間に食事をとることを心がけましょう。
ただし、過度に食べ物を制限するとストレスが溜まり、体によくありません。あくまでも無理をせず、好きな食べ物も楽しみながら、「ほどほどに」という気持ちを持つことが大切です。
食生活とともに重要なのが、体力。体を動かすのがおっくうになると、とたんに足腰の筋力が弱まり、さらに体を動かしにくくなってしまいます。また、筋力の衰えは歩行中の転倒や階段からの転落など、事故の原因にもなります。
通勤や買い物などで毎日外出することが多い人は、そのペースを続けるように意識するとよいでしょう。また、自宅にいることが多い方は、散歩に出るなどのほか、布団の上げ下ろしや風呂掃除を自分がするなど、家の中でも体を動かすことを心がけましょう。
外出は、体を動かし全身の筋肉を使うほか、他人とコミュニケーションをとる機会が増えたり、自分の好奇心を刺激することがいっぱい。こうした刺激が脳を活性化させ、認知症の予防にもつながります。地域のコミュニティや、趣味を通じた人のつながりを持って、積極的に人と交わりましょう。
歳を重ねるごとに、体のどこかに病気を抱えてしまうのはある意味”当たり前”のこと。大事なのは、こうした病気を早期に発見し、適切に治療することです。体に異変を感じたら、「ちょっと様子を見てみよう」「これくらいならまだ大丈夫」と考えるのは絶対に禁物。早め早めに病院で見てもらうとともに、職場や自治体が行なう定期検診を活用して、病気は芽のうちに摘み取るようにしましょう。
また、高齢者の方は「自分が病気だったら、家族に迷惑がかかるのでは」と考え、自分から言い出せないことも。自分の家族に高齢者がいる場合は、普段と変わったところがないか、小さなサインに気づいてあげられるよう、日ごろからコミュニケーションを取るようにしましょう。
世の中には、ちょっとした不便を解消し、また危険を取り除くための様々な設備や道具があります。杖や手すり、自動点灯式の照明などはその代表例。「明日からすぐできる!自宅内の転倒事故を防ぐ10の方法」なども参考にしながら、積極的に取り入れたいものです。
そして、例えば手すりを「つけただけ」では宝の持ち腐れ。常日頃から使うことを心がけましょう。
どれだけ普段の生活に気をつけていても、体の衰えは必ずやってくるもの。しかし、その進行を緩やかなものにすることはできます。上に挙げたようなポイントを意識しながら、いつまでも健康でいられるように、規則正しく、そして楽しい生活を送りたいものです。
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