201804/11
現在、介護保険の住宅改修助成金を利用して、要介護の人が快適に暮らせるような住宅改修を行うことができる。その代表的なものが「手すりの設置」だが、施工業者に対して「これこれこういうことができるようになりたい」「私はこういう方法で立ち上がったりするので、手すりもこう付けてほしい」といったような要望をしっかり伝えることができず、マニュアル通りの設置法になり、結果として役に立たない手すりになってしまう場合もある。
そこで、住宅改修のプロフェッショナルである社会・生活環境研究所 山田隆人代表に、設置個所ごとに「手すり設置の最適な方法」を聞いた。
まず、普段皆さんが室内を移動するとき、支えとして無意識に手を付いている場所があると思います。そういった場所には“手あか”が付いている可能性が高い。こういった場所こそが、手すりを付ける最適な場所と考えられます。
手すりを取り付ける位置は、基本的に使用者の“大腿骨大転子”の高さに設定します。この大腿骨大転子とは、太ももの骨の一番上の、少しポコッと出た部分のことですね。これが基本ではありますが、体の具合など個人差を考慮して、最終的な設置場所を決めましょう。
人によっては、脚の長い人、手の長い人がいますので、手が長い場合は、気をつけの姿勢をした際の前腕の親指から体の肩の方に少し戻ったところにある橈骨茎状突起(とうこつけいじょうとっき)の高さに手すりの位置を設定します。
どちらか迷うようであれば、2つの高さに手すり等を提示し、どちらが使いやすいかを確認する方法があります。
また、杖を使用している方であれば、杖の高さに近い方にすることが可能だと思います。
段差に手すりを取付ける際には、降りを優先に考え、利き手もしくは機能の良い方に手すりを設置します。片麻痺の様に脚の機能に左右差がある場合は、機能の良い方となります。
玄関には上がり框、つまり段差がありますので、まずはそこに昇り降りする前、している最中、その後に、どこを持っているのか、昇り切ったところと降り切ったところで安定しているかどうかを確認しましょう。利用者さんの状況によって昇り方も大きく変わってきます。障害持っている方には後ろ向きで降りる方もおられます。動作の様子や習慣を確認しましょう。
靴を履く動作についても同様です。まずは利用者さんの動作を理解する必要があります。また玄関では宅配便の受け取りという作業も発生します。これらの動きのなかで最も安定している姿勢が取れることを把握しましょう。
どう伝っていくのか、特にどう昇っていくのかを見る必要があります。手すりを引っ張って昇る人もいれば、手すりを押して昇る人もいます。引っ張り昇りであれば、一般的な場所より少し上に設置する必要があります。
手すりの位置が高いと段差を昇る際に、体重心が体の後方にかかることになります。この状態だと転倒する可能性が高くなってしまいます。この際、肩がどこまで上がるか、ということも見る必要があります。
浴室内でどうしたいのか、ということに沿って設置します。浴室内での動きに使うのか、浴槽への出入りに使うのか。その目的に合わせて設置する必要があります。あと、体に麻痺がある人にとっては、手すりを付ける位置によっては行動が行き詰って、にっちもさっちもいかなくなることがあります。どちらの手を使ってどう動くのかを把握してから設置しなければなりません。
一般的な浴室では“白い壁・白い手すり”というものをよく見かけますが、白内障など視力に問題がある方にとっては、壁と同じ色であれば湯気で見にくくなります。できれば浴室の壁色と違う色の手すりにした方がよいと思いますね。
便座のすぐ横に置いて、腕の力で体を押し上げる形で使うヨコ手すり、立った状態の安定を保つタテ手すりが必要となります。それを組み合わせたL字型の手すりがありますので、それを利用する方は多いでしょうね。手すりの使用が立ち上がりなのか、それとも座っている際の姿勢の安定なのかを確認する必要があります。便座の両側に付けるひじ掛けのような手すりもあります。
立ち上がる際には、体を前に倒します。その際の空間がないと手すりをもって立ち上がったら体をぶつけてしまうという困った位置に設置されてしまう場合もあります。体の大きい方ほど、トイレの便座の前に大きな空間が必要になります。
これはお風呂の脱衣所でも同じことがいえますが、立ち上がるために手すりを持つと、片手がふさがることで下着を着たり脱いだりできなくなります。その状況を解消するため、タテの手すりにもたれかかる方法があります。そうすれば両手が空くので服の着脱が可能となります。こういった使用法も考えて設置しましょう。その為には、肩の高さよりも100㎜程高い位置に手すりの上端を設定する必要があります。
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