202010/14
高齢者は足腰だけでなく、腕の力、手の力(握力)、視力も年を追うごとに弱くなっていきます。自宅介護をする場合には転倒や骨折などで寝たきりになってしまわないよう、家をリフォームして手すりを付けるなどの工夫が必要になります。本記事では、手すりを付けておきたい場所、具体的な設置箇所などについて解説していきます。
場所別の手すり設置箇所を説明する前に、まず手すりを取り付ける目的について確認しておきましょう。一口に手すりを取り付けると言っても、ご高齢者(手すりを使うご本人)の状態によって、その目的が異なってくるからです。
自宅介護用に家をリフォームする場合、真っ先に思い浮かぶ目的が転倒と転落防止ではないでしょうか。転倒は家の中の移動時やトイレなどで、転落は玄関の上がり框(あがりがまち)や浴室(浴槽への転落)で起こります。したがって転倒や転落を防止するための手すりは、つまずきやすい段差や高低差のある場所(階段など)に取り付けます。
手すりを付ける目的は、転倒や転落など、怪我の防止だけではありません。補助を必要としない、自立した生活ための目的もあります。たとえば自室からトイレ、浴室の入口まで手すりを取り付ければ、だれかが介助せずとも日々の生活が自分で送れます。
介助される側は手助けをしてもらう際、常に申し訳ない気持ちが拭いきれないものです。
「自分でできる」という高齢者の自立は、家族や介助者のためだけではなく、ご本人のためにもなるのです。
腰を下ろす際、または立ち上がるときに介助が必要になるのは、足腰が弱ってきた高齢者ならではです。このような動きが日々一番必要なのはトイレ、浴室、次に玄関となるでしょう。このような場所では、適切な位置に手すりを付けることで介助がなくても立ち座りが可能になります。ただし玄関の上がり框などは高さが低いため、一度腰を下ろすと立ち上がるのは容易ではありません。たとえ立ち上がるときに介助してもらったとしても、ご本人の心理的安心のために掴まって安心できる手すりが必要になります。また特にトイレや浴室では、介助してもらうことへの心理的抵抗もありえます。このようなプライバシーが必要になる場所では、ご本人にとっても手すりが自立への励みになります。
財団法人テクノエイド協会の資料によれば、目の水晶体が白く濁って視力が低下してしまう白内障の発症率は65歳から高くなり、75 歳以上で85%、90歳では 100%になるとされています。高齢になるにつれ小さな文字や新聞が読みにくくなり、80 歳代になると遠くや暗い場所、速く動くものが見えにくくなります。
このような状態では移動する先の障害物や廊下の凹凸等も見えにくくなり、結果として転倒のリスクが上がります。手すりは、移動や立ち座りなどの行動を補助するだけでなく、移動を安全に導くための目印(ガイド)にもなるのです。
高齢者にとって、引き戸の取手やドアノブは決して掴みやすいものではありません。特に昔ながらの引き戸などは、力が要るわりに取手が小さく、高齢者は力が入れられずに開けにくいものです。もし自室の出入り口がこのようになっていれば、引き戸に小型の手すりを付けることによって開けやすくなります。手すりは、ものを掴みやすくする目的にも使われるのです。またドアノブは、上下動によって開くレバー式に替えるか、ドアノブにレバー式のドアハンドルを取り付けるとよいでしょう。
それでは実際に手すりをどのように付けるべきか、場所別に見ていきましょう。
もしご本人専用のお部屋があれば、一日の大半を自分の居室で過ごすことが多いかもしれませんが、ベッドから降りてトイレや浴室に行く動作や導線を考慮して手すりを選び、設置するとよいでしょう。
まずはベッドからの立ち上がりです。身体を起こして歩き出すまでの動作を補助する手すりがあると安全です。ベッドに手すりを固定することは難しいので、ベッドサイドに据え置き型の手すり設置がおすすめです。
続いて、歩行を支える手すりです。壁に手すりを固定するか、もしくは突っ張り式で手すりの設置も可能です。
最後に部屋の出入り口。ドアや引き戸を開閉する際に、よろけて転倒する恐れがあります。扉の開け閉めの動作補助に縦型の手すり(高さは手すり棒の中心が床から120㎝程度)を取りつけると安心です。握力が必要なドアノブ(握り玉タイプ)であればレバーハンドルに取り替えるなど開けやすい工夫もしましょう。
また、寝室がお布団の場合や、洋室にテーブルとイスがあるような状況であれば、お布団やイスの脇に置く、据え置き型の手すりも市販されています。通常、手すりは壁や柱に固定しますが、部屋の中心部には壁や柱がないので、据え置き型の手すりがあると安心です。(https://item.rakuten.co.jp/itemjapan/4562166805135/)
ベッドも一日一回、もしくは数回、立ち座りか起き上がりを行います。この場合も、身体を支えるためと起き上がるために手すりは必要となりますが、ベッドの場合は近くの壁に手すりを付けるより、ベッド自体に手すりが付いている方が使い勝手は良いようです。もし介護用のベッドが用意できない場合は、やはり据え置き型の手すりを設置して使いましょう。
お食事のあとに家族と過ごすのは、やはりリビングでしょう。ここでも手すりは欲しいですが、固定のものだと他の家族の移動に支障が出る場合もあります。ご本人がよく居る場所(たとえばソファー等)には据え置き型の手すり、もしくは4点杖などと呼ばれる安定感のある杖を使うのも良いでしょう。このような杖は一般的に軽く、持ち運びも容易なので他にも使い道があります。一本用意しておくと便利です。
自分の居室から、トイレ、浴室、リビングや玄関に移動するために必ず通るのが廊下です。ここにはご本人の導線に沿って手すりを設置する必要があります。標準的な高さは75cmほどといわれていますが、ご本人の身長と身体の特徴に合わせて高さを調節しましょう。一般的には丸型の手すりを使いますが、ヒジを使って身体を支えることが多いようであれば、台形もしくは四角形の手すりで、ヒジを乗せやすい高さ(90~100cm)への設置も検討する必要があります。握る力が落ちてくると、手首だけでなくヒジを使って身体を支えることもあるためです。
どうしても階段を使わねば移動できないときには、階段への手すりの設置を検討しましょう。高さやほかの注意点は廊下と同じですが、階段では、やむを得ず片側に設置の場合は、降りる際の利き腕側に取付けます。階段は途中から曲がっている場合もあり、ご本人とよく相談の上、実績ある業者に設置を依頼することが肝要です。
こちらも日常的に必ず使う場所なので、手すりが必要です。一般的には便器の高さに合わせて、便器横にL字型や縦型の手すりを設置します。水平な手すりは立ち上がるため、垂直な手すりは身体を安定させるために必要です。トイレは狭く設置場所に苦労することが多いのですが、ウォシュレットの操作盤やトイレットペーパーの邪魔にならない位置に取り付けましょう。
浴室の床はすべりやすく、転倒や浴槽への転落に注意しなくてはなりません。またトイレも同様ですが、プライバシーのためにも介助無しの利用が好ましい場所でもあります。浴室の手すりは主に身体を安定させるための縦型、浴槽に出入りするための横型、もしくはL字型の手すりで、すべりにくい材質のものを使うのが基本です。
玄関は上がり框の段差があり、また靴を履くための立ち座りで必ず手すりが必要になります。多くのご高齢者は、靴を履く場合にイスを使うことが多いので自ら立ち上がるための手すりというより、身体を安定させるための用途が主になります。玄関ではL字型の手すりを設置するか、移動が可能な据え置き型の手すりを使いましょう。
手すりを付ける場合に一番大切なことは、決して押しつけにならないようにご本人とよく相談してから設置することです。ご本人が必要とされる場所、位置、手すりの形状などをよく確認の上、工事を行いましょう。また、手すりなどはDIYで自ら取り付けを行う事もできます。「建材サルベージ」など住宅建材のアウトレットモールなどを利用すれば、材料費も抑えてリフォームすることが可能です。
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