201804/23
「家に手すりを付けたいんだけど、まずどんな種類の手すりがあるの?」
「例えば玄関やトイレなど、場所ごとにベストな手すりって何?」
こういった悩みがある方のため、今回は手すりの先駆的開発で知られているマツ六株式会社の皆さんが集合。
日々手すりについて考え続けている彼らが、豊かな生活を維持するために必要な手すりとはどのようなものかを3回の記事に分けて徹底解説します。
「こんな便利な手すりもあるんだ!」と目からうろこの最新手すりも登場しますよ!
手すりを知り尽くすメンバーはこちら
第一部「寝室からトイレまで」
住宅で手すりを考える場合、 “就寝中に起きてトイレで用を足す”ための動線を確保する事は重要です。よって今回集まった“手すりプロフェッショナル”のメンバーにも、まずはこの状況に沿って最適な手すりを紹介してもらいましょう。
佐久間:布団から立ち上がる際に便利な手すりといえば、据置式です。壁や床に固定されているものではなく、床に置いて使用するタイプの手すりが便利だと思います。
岩田:マツ六では「たよレール」という商品を用意しています。通常4段あって、徐々に掴み上がっていけるようになっています。
桑田:この据置式の手すりを利用されるにあたっては、知っておくべき情報があります。介護保険では住宅改修に20万円までの助成金が出ますが、それとは別に福祉用具貸与に対する助成金もあります。この据置式手すりは施工が伴わないので、福祉用具貸与の対象となります。つまり、住宅改修とは別予算でこの据置式手すりもご利用いただけるということです。
松戸:必要な場所に自由に置けるため、寝起きのサポートだけでなく、例えばイスやソファからの立ち上がりにも便利ですよね。
岩田:据え置くだけでなく、天井と床で突っ張ることでより安全に移動できる突っ張り式手すりもあります。
服部:「たよレール」を使って起き上がってから、寝室のドアまでの間も「たよレール」と壁付のI型手すりを連結する手すり「わたレール」でつなぎ、これを伝って移動することもできます。
佐久間:そしてドアを開けて廊下を伝っていきます。ここでは廊下に沿って設置した手すりを使用しますが、ここで問題も。廊下の並びにドアや階段があると、どうしても手すりが途切れてしまいます。
岩田:それが途切れないようにするために、弊社では“遮断機式”の手すりを考案しました。踏切の遮断機のように、上下に開閉する手すりです。普段は上がっているこの手すりを下せば、部屋や階段があっても途切れずに手すりを伝って進むことができます。
松戸:手すりは“途切れない”ことが重要ですからね。途中で途切れると不安ですし、事故の元となりますから。
森田:どのような廊下にも手すりを這わせることができるような、さまざまな手すり、そしてブラケット(固定用金具)があります。施工業者とも相談してみてください。
佐久間:トイレのドアを開けようと思えば、一歩後退しないと開けられない。体勢を崩しやすいのです。そこで、ドアの横にはI型手すりを付ける方も多いですね。これがあれば三点支持状態となり、安定して体を支えることができます。
松戸:トイレに座る前に服を下ろさなければなりません。この時非常に不安定な状態になりますので、タテに設置した出幅の大きい手すりに体を預けるとより安全になります。一般的なトイレではL字型の手すりを設置します。便座の立ち座りにはL型のタテを、座位を安定させるにはヨコ手すりを握ります。こうすれば、1人でも安全に用を足すことができます。
森田:立ち上がる際に、腕で押し上げて立つことができるプッシュアップのL型手すりもありますね。
桑田:実は、トイレで排泄される際には、直腸と肛門の角度の問題から、少し前かがみになる方が排便しやすいことが分かっています。そこで、先ほどご紹介した遮断機式手すりを応用して、便座の前方に手すりを持ってくることで体を預けることができ、体の弱い方でも安全に用を足すことができます。
手すりは途切れないことが重要。遮断機式のタイプを有効活用しよう!
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