201804/23
「家に手すりを付けたいんだけど、まずどんな種類の手すりがあるの?」
「例えば玄関やトイレなど、場所ごとにベストな手すりって何?」
こういった悩みがある方のため、今回は手すりの先駆的開発で知られているマツ六株式会社の皆さんが集合。
日々手すりについて考え続けている彼らが、豊かな生活を維持するために必要な手すりとはどのようなものかを3回の記事に分けて徹底解説します。
「こんな便利な手すりもあるんだ!」と目からうろこの最新手すりも登場しますよ!
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第三部「形や素材にも注目」
ここまで、設置場所ごとのさまざまな手すりを見てきましたが、ここであらためて手すりの「形状」「材質」ごとの特徴に注目。
形や素材別に向き不向きがあり、最適な設置場所は変わってきます。
佐久間:手すりにはさまざまな太さのものがあります。昔、建材メーカーは太さφ(パイ)45~60という手すりを販売していました。φ1=直径1mmですので、φ60は直径6cmの太さということです。現在のものに比べてかなり太いのですが、それは強度を重視していたからです。その後の研究で、立ち上がる時に一番力が入る太さはφ34が最適だということになり、これが主流となりました。
桑田:ほとんどの病院の手すりはφ34です。その後、2000年に介護保険が出来てから、介護医療系の研究機関によって再度研究がなされ、立ち上がり時に使用するタテ手すりはφ32、廊下にように手を滑らせて使用するヨコ手すりの場合はφ35がよいとされ、最終的には手すりに最適な太さはφ28~36という結果となりました。
松戸:本来、手すりには「動作の補助」と「移動の補助」という2つの目的があります。「動作の補助」には「握る」「支える」タイプの手すりが、「移動の補助」には「支える」「摺(す)る」タイプの手すりが使われることとなります。このタイプ別で考えると分かりやすいと思います。
岩田:「握る」タイプはφ28~32、「摺る」タイプはφ32~36が適正とされています。ただ「支える」タイプはリウマチなど指が不自由な人にとって上部が平らになっているものが利用しやすく、それは平面の幅が50~90mmが適正です。まずはこれを基準としつつ、利用者さんの目的や身体能力などを考慮して決定されるのがよいと思います。
服部:あとは、手すりの両端の形にも注意が必要です。例えば手すりの端に棒が突き出ているタイプだと、そこにパジャマの袖が引っ掛かって転倒の原因になる場合もあります。両端が突き出ていないものを選ばれることをおすすめします。
森田:あまり指が滑らないような手すりにしたい場合は、溝があるものを選ぶことができます。しかしこの溝についても、注意が必要な場合がありますね。引っ掛かりをよくするには、もちろん溝が深い方がよいのですが、高齢者の女性の場合は手の関節が弱っている場合があり、溝が深すぎると関節を痛める可能性もあります。
手すりに最適な太さはφ28~36。どのように使うのかによって太さや形状が変わる。
佐久間:素材でいえば、主にステンレス、アルミ、木、樹脂被膜といったものがあり、それぞれの特性があります。
桑田:廊下や玄関、トイレなどに設置する場合は木製がほとんど。やはり木ならではの温かみがあり、インテリアにも馴染みます。通常、住宅内の壁は白が多いため、茶色の木製を使用することで視認性も上がります。
服部:浴室や洗面所といった水回りは、水に強い樹脂製やステンレス製が多いですね。屋外では風雨や強い紫外線にさらされますし、寒暖の差も激しい。例えば木製のものだと劣化が進んでしまうことになるでしょう。
岩田:例えばお庭に設置する場合だと、劣化などの変質は起こりにくいことを考えるとステンレスやアルミのタイプ。しかしステンレスだと夏は熱く、冬は冷たく、触れないほどになる場合もありますので、やはりステンレスやアルミ、鉄の芯材に樹脂被膜が一番ということになるでしょうね。
松戸:手すり棒を受ける金具であるブラケットにも注意が必要です。金属製なら大丈夫だと思って、室内用の亜鉛合金製のものを使ってしまうと腐食が早く進みます。ステンレスやアルミ、耐候性の高いものを選ぶのがよいと思います。
桑田:手すりを設置する場所が私的な空間なのか、多くの人が利用する可能性がある場所かも判断基準となります。多くの人が繰り返し使う場合は強度にも気を配る必要がありますからね。
屋内と屋外で最適素材は違う。耐候性が決め手。
<最後に ~まずは役所などに相談を>
桑田:介護保険の住宅改修で手すりを設置されることを考える場合、業者に任せきりにせず、まずは役所に相談されるのが一番だと思います。登録業者も教えてもらえますし。
森田:役所から地域包括支援センターという組織を紹介してくれる場合もあるでしょう。ここには保健師や社会福祉士、主任ケアマネジャーが配置さていて、地域に暮らす人たちの介護予防や日々の暮らしをさまざまな側面からサポートしてくれます。
岩田:もちろん、日々サポートしてくれている介護施設に相談されるのもよいでしょう。その場合、福祉住環境コーディネーターという資格がある方がベストです。要介護の方の住環境に関するスペシャリストですから。
佐久間:終の住処であるご自宅で、健康で安全に過ごしたい。そのためには住環境を整えることが大切です。自分達だけで考えるのではなく、是非、専門職の方々のアドバイスを受けてください。介護保険制度など積極的に利用し、相談されることをお勧めしたいです。
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