202009/18
新型コロナウイルス感染症の拡大により外出自粛が要請され、高齢者が自宅に閉じこもるケースが増えています。そうなると注意が必要なのが「転倒」です。
高齢者は筋力などの身体機能が低下しがちであるため、若い人なら気にならないちょっとした段差などでもつまずいて転倒しやすくなります。転倒し、大腿骨などを骨折すると、最悪の場合そのまま寝たきりになって要介護状態になることもあります。
この記事では、高齢者の転倒はなぜ危険なのか、転倒の多い場所、および予防対策をご紹介します。
高齢者は筋力やバランス能力、視力などの身体機能が低下するため、若い人なら問題にもならない低い段差などでもつまずいて、転んでしまいやすくなります。下の図は、東京消防庁が平成30年の1年で、転倒により救急搬送した人の、年齢ごとの人数と人口に占める割合です。
【転倒で救急搬送された高齢者の人数と人口に占める割合】
この図を見ると、転倒事故を起こした人の人口に占める割合は、年齢が高くなるとともに右肩上がりに増加していることがわかります。
高齢者が転倒すると、負うケガは決して軽いものばかりではありません。下の図は、転倒で救急搬送された高齢者の症状を示したものです。
【転倒で救急搬送された高齢者の症状】
この図を見ると、約6割は入院の必要がない軽症ではあるものの、約4割は入院の必要がある中等症です。生命の危険がある重症や重篤、および死亡した高齢者も少なからずいます。
高齢者の場合には、転倒で負った症状が生命の危険のない骨折でも、骨折部位が大腿骨であるなどすれば、そのまま寝たきりの要介護状態になってしまうこともあります。若いときとはちがって骨折が治るまでに時間がかかり、安静にしているあいだに筋力などの身体機能が衰えてしまうことがあるからです。
新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛要請で、高齢者が自宅に閉じこもるケースが増えています。自宅で転倒事故を起こさないよう、十分な配慮と予防対策が必要だといえるでしょう。
それでは、高齢者が転倒しやすい場所のリスクチェックをしてみましょう。
国民生活センター『医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故-高齢者編-』によれば、転倒事故の約7割は「自宅」で起きています。高齢者の自宅での転倒事故のうち約8割が「屋内」、約2割が「屋外」で、高齢者の転倒事故は「自宅の屋内」で起きやすいのが特徴です。
その自宅屋内のうち、特に高齢者が転倒しやすい場所は以下の通りです。
高齢者の転倒事故が最も起きやすい場所は居室・寝室です。階段などならともかく、居室や寝室で転ぶのはなぜだろうと思う人もいることでしょう。しかし、高齢者は身体機能が低下しているため、カーペットや敷居などのほんのわずかな段差などでもつまずいて転倒することがあります。
国民生活センターに報告された転倒の具体事例は以下のようなものがあります。
・トイレへ行こうと起きたらベッドから転落し、頭部打撲で骨折・入院(96歳男性)
・トイレへ行こうと起きたとき、ベッドを畳の上に敷いた布団と勘違いしたためベッドから転落、腕を骨折して入院(81歳女性)
ベッドから転落するなど、若いうちにはあまり考えられないと思いますが、高齢者にはよくある事例だということです。
居室・寝室に次いで多いのは階段です。階段は段差があり、若い人でも落ちることがありますので、高齢者の転倒・転落事故が多いのも納得がいくでしょう。
具体事例には以下のようなものがあります。
・階段を降りているとき手すりをつかむ手をひねり、その場で転倒。6~7段ほど仰向けで転落し、肋骨を骨折(83歳男性)
・階段を2段踏み外して転落、かかとを骨折(85歳女性)
・階段の1段目から足を踏み外して転倒、尻餅をついて太ももを骨折(86歳女性)
・階段の5段目から転落し、階段の下にあったプラスチック製の箱に頭を強打。そのほか太ももと方の打撲、頚椎捻挫(71歳女性)
階段の転倒リスクは高いです。手すり設置などの予防対策は必須だといえるでしょう。
転倒事故が多い第3位は台所・食堂です。台所に敷かれていることが多いキッチンマットにつまずいたり滑ったりして転倒、あるいは高いところにあるものを取ろうとして転倒、などの事例があります。
台所・食堂では高齢者の誤飲・誤嚥による窒息、あるいは着衣着火によるやけどなども起こります。十分な注意が必要です。
風呂場には段差があるケースが多く、また水で濡れて滑りやすいため、高齢者が転倒しやすいです。また、洗面所の床には小物などが置かれているケースが多く、高齢者がつまずくリスクが高い場所だといえます。具体事例には次のようなものがあります。
・風呂場の段差につまずいて滑り落ち、かかとを骨折(79歳女性)
・風呂場で滑って転倒し、大腿骨を骨折(84歳女性)
風呂場では、熱すぎるお湯に水で割らずに入ってしまい、やけどを負うなどの事故もあります。
玄関や縁側には段差があるため、高齢者の転倒事故が起きやすいです。具体事例には次のものがあります。
・玄関の小さな段差につまずき、お尻から転んで足を骨折(83歳男性)
・縁側から庭に降りる段差で転倒、大腿骨を骨折(83歳女性)
以上のように、高齢者は居室・寝室などの、若い人なら転ばないだろうと思える場所でも転倒事故を起こしています。高齢者の転倒を予防するための対策を見てみましょう。
●手すりを取り付ける
高齢者の転倒を予防するためにまず重要なのは、自宅に手すりを取り付けることです。高齢者が移動するすべての場所で、手すりにつかまれるようにしてあげましょう。
手すりは、自分でDIYをして取り付けることもそれほど難しくありません。材料の購入には、2,200円以上の購入で送料が無料となる住宅建材アウトレットサイト「建材サルベージ」がおすすめです。
●段差をなくす
高齢者は身体機能が低下してすり足で歩くことが多いため、若い人なら考えられない小さな段差でも転んでしまうことがあります。カーペットや敷居などの段差はできる限りなくしましょう。
●マットや延長コードなどの滑りやすいものを置かない
高齢者が踏むと滑りやすい、マットや電源コード、延長コードなどを床に置かないことも大切です。どうしてもマットを置かなければならない場合は、滑り止めで固定しましょう。
●寝室からトイレまでの動線を確保する
夜間、寝室からトイレへ行くまでのあいだで転倒することも高齢者には多いです。寝室からトイレのあいだは、スイッチを押さなくても自動的に点灯するセンサー式の足元灯を設置しましょう。また、手すりは万全に設置し、滑りやすいもの、つまずきやすいものを置かないよう気を付けましょう。
高齢者は筋力やバランス能力、視力などの身体能力の低下により、転倒しやすくなっています。転倒は、年齢が高くなるにつれて増加します。
高齢者が転倒して骨折などすると、最悪の場合にはそのまま寝たきりの要介護状態になってしまうこともあります。新型コロナウイルス感染症の拡大で外出自粛も求められている折り、高齢者の自宅での転倒事故には十分な予防対策を講じましょう。
高齢者が転倒しやすいのは居室・寝室、階段、台所・食堂、風呂場・洗面所、玄関・縁側などです。転倒の予防対策は、手すりを取り付ける、段差をなくす、滑りやすいものを置かないなどです。手すりは、自分でDIYをして取り付けるのもおすすめです。
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