202309/29
在宅で介護をしていると、ふとしたときに「こんなグッズがあったらいいのに…」「こんなとき、もっと簡単に介護できないだろうか?」と思う瞬間があるはずです。
いざ在宅介護をスタートしてから、「用意しておけばよかった!」ということもあるでしょう。
介護では、想像以上にさまざまな用品が入り用となるものです。
本記事では、介護をラクにするおすすめのグッズを、シーン別にわけてご紹介していきます!
介護用品を購入する際やレンタルする際の補助制度についても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。賢く、手軽に、便利グッズを活用しましょう。
介護とは、要介護者の日々の生活をサポートすることです。朝から夜まで継続しておこなう介護では、あらゆる場面で介護用品が必要となります。
たとえば、朝・昼・夜の3回、要介護者が楽しく食事をするためのグッズがあるとよいでしょう。
相当の体力を要する入浴介助では、介護者・要介護者共に身体的負担を減らすようなグッズが必要です。
多くの時間を過ごす寝室には、心地よく生活できるためのグッズがあるとよいですね。
人間の尊厳にも関わるデリケートなトイレ介助の場では、お互い快適かつスムーズに進められるグッズが求められます。
このように、日常で介護用品・グッズが活躍するシーンは多々あります。
先述したとおり、日々の暮らしの中で介護用品が必要となるシーンは、実に多いです。
ここでは、「食事」「お風呂」「寝室」「トイレ」「そのほか」と5つの場面にわけ、あると便利なおすすめグッズをご紹介します。
食事は、人が生きていくのに欠かせないものです。体へのエネルギーとなるのはもちろん、精神面においても大きな役割を持ちます。
1日の中でも「食事の時間が楽しみ」という要介護者は多いのではないでしょうか。
そんな食事の場をよりよい時間とするために、おすすめの便利グッズ3点を見ていきましょう。
年を重ねると、口周りの筋肉も衰えてきてしまい、食べこぼしが増えてきます。
衣類の汚れを気にせず食事を楽しめるよう、介護用食事エプロンがあるとよいでしょう。なるべく広範囲を覆える大判なものがおすすめです。
キャッチポケット付きのものなら、食べ物が下に落ちるのも防ぐことができ、掃除も簡単に済ませられます。 また、防水性のものが望ましいです。
首元の合わせ部分がボタンだと装着がしづらいので、マジックテープタイプのものを選びましょう。
※介護用食事エプロンは、介護保険対象外です。
吸い飲みとは、ベッドや布団に寝たままでも水が飲める容器です。 横になった状態でも、水をこぼさずに飲むことができます。
ストロー型のもの、流動食に適したものなど形もさまざまなので、要介護者の状況に合わせて使い分けるとよいでしょう。
100円ショップなどでは、ペットボトルに直接装着できる「ストローキャップ」も購入できます。ストローキャップも使い勝手がよく、おすすめですよ。
※吸い飲みは、介護保険対象外です。
スポンジハンドルとは、食事に留まらず、歯磨きや文字書きなど手指を使った動作を、ラクにおこなうためのアイテムです。
スプーンやフォークといったカトラリー、歯ブラシ、ペンなどの柄の部分を差し込み、持ちやすくします。
滑りにくく、また手で握る部分が太くなるので、握力の弱い方や物を握りにくい方、細かな指の動きが苦手な方に適したグッズです。
サイズもさまざまなので、カトラリーや歯ブラシなど差し込むものに合わせて数種類持っておくとよいでしょう。
※スポンジハンドルは、介護保険対象外です。
お風呂は、体の汚れを取り除き、心身を健やかに保つのに一役買います。1日の疲れを癒す場でもありますが、介護する側には身体的負担も多く、容易ではありません。
入浴介助をスムーズにおこなうための便利グッズを、4点ご紹介します。
シャワーチェアは、主に浴室の洗い場で使用する椅子を指します。
一般的な洗い場用チェアと比較して座面が広く、背もたれやひじ掛けが付いているものもあるため、安定した姿勢で全身を洗えることがメリットです。
U字型のものや、座面が回転するものなどあらゆるタイプがあるので、要介護者の状態に合わせて選ぶとよいでしょう。
※シャワーチェアは特定福祉用具販売の対象のため、介護保険が適用されます。
浴槽に出入りする際や入浴中につかまるための手すりも、あると大変便利です。転倒を防止し、要介護者の体を支える手助けとなります。
浴槽部分に取りつけるタイプや壁に取りつけるタイプなど、形状も用途もさまざまあるため、要介護者はもちろん、ご自宅の状況に合わせて選定しましょう。 ユニットバス専用のタイプもあります。
※浴槽手すりは福祉用具貸与の対象のため、介護保険が適用されます。
入浴介助ベルトは、要介護者の体に巻きつけて使用します。 立ち上がる際にバランスを崩さぬよう補助するためのアイテムです。
入浴介助ベルトは、起立時や移乗介助の負担軽減を目的とした補助ベルトであり、立てない方を持ち上げるための道具ではありません。その点はしっかりと頭に入れて使用しましょう。
腰のみに巻きつけるタイプ、脚も支えるタイプなどさまざまあり、状況に応じて選択可能です。
※入浴介助ベルトは特定福祉用具販売の対象のため、介護保険が適用されます。
入浴介助の際に介護者が着用するエプロンも、用意しておきましょう。
入浴介助エプロンは、濡れても大丈夫なように、防水・撥水に優れた素材になっているものが一般的です。 入浴介助の際、衣類が濡れたり汚れたりするのを気にせずに介助できます。
上半身から下半身まですっぽりと覆うもの、下半身だけのものなど形状はさまざまですが、丈の長いものを選ぶと衣類の濡れをより防げるので、おすすめです。
※入浴介助エプロンは、介護保険対象外です。
介護が必要な方の場合、寝室で過ごす時間も長くなりがちです。要介護者が心地よいと思える居住空間をつくり、介護者の負担を軽減させるグッズは、数多くあります。
寝室での使用に適した便利グッズ4点を見てみましょう。
ベッド用テーブルは、その名のとおり、ベッド上で食事をする際、文字を書く際などに使用します。 幅はさまざまあり、高さは調整できるものが多いです。
片側部分のみに脚がありベッド横に置くタイプのもの、両サイドに脚がありベッドの両端にわたすものなどがあります。
ベッドだけでなく、ソファなどで使用するのもおすすめです。
※ベッド用テーブルは、介護保険対象外です。
ベッドサイドに置くタイプの手すりは、主に要介護者のみが使用するものです。 ベッドやソファからの立ち上がりをサポートします。
幅や形状などさまざまなタイプがあるため、ベッドや布団に合わせて選ぶようにしましょう。 寝たきりを防ぐ、自立支援タイプのアイテムです。
※置き型手すりは福祉用具貸与の対象のため、介護保険が適用されます。
スライディングシートとは、要介護者の体を移動・移乗させるためのシートです。 滑りのよい素材でできており、過度な力を必要とせず移動介助をおこなえます。
ベッドや布団と要介護者との間に敷き込み、使用しましょう。 寝返りなど体位変換時の摩擦を軽減するため、床ずれ予防にもなります。
※スライディングシートは、介護保険対象外です。
床ずれとは、長時間同じ体制でいることによる圧迫や摩擦から起こる傷を指します。
床ずれを予防するためのクッションは、横になる時間が長い方におすすめです。
寝たきりの状態が続くと床ずれができてしまうので、それを防ぐために床ずれ防止クッションを使用し、体位変換をおこなうのです。
また、床ずれの予防だけに留まらず、姿勢の保持にも利用できます。
※床ずれ防止クッションは福祉用具貸与の対象のため、介護保険が適用されます。
トイレはデリケートな空間であるからこそ、なるべく自身でおこなってもらうことが理想です。
自立を支援するグッズがあれば、自力でできることが増え、要介護者本人の自信にもつながるでしょう。
トイレで使用できる便利グッズに加え、自力での排泄が難しくなった際に介護者へおすすめしたいグッズをご紹介します。
補高便座は、もともとのトイレに取りつけ高さを出すことで、便座からの立ち上がり・座り込みを楽にするサポートグッズです。
自力でのトイレ使用を促し、介助負担も軽減してくれます。
和式トイレに設置することで、洋式の使い方ができるようになる便座もあるため、ご入用の方はチェックしてみてください。
※補高便座は特定福祉用具販売の対象のため、介護保険が適用されます。
トイレ用手すりは、自宅のトイレに設置して使用する手すりです。 トイレ時の立ち上がりや座り込みをサポートします。
便器を挟み込む形で固定する仕様になっているものが一般的です。
両サイドにひじ掛けタイプの手すりが付いているものが多く、用を足している最中も安定感を保てます。
中にはひじ掛け手すりが跳ね上がるタイプのものもあるので、要チェックです。
※トイレ用手すりは福祉用具貸与の対象のため、介護保険が適用されます。
トイレ処理袋は、ポータブルトイレの受バケツに取りつけて使用するものです。
トイレ処理袋を使用することで、排泄物をそのまま処理できるので、受バケツを洗浄したりする手間が省けます。
トイレ処理袋には吸収シートが入っているため、尿漏れなどを気にせず、複数回ずつ使用できます。 処理は、一般的なオムツと同様です。
介護だけでなく災害時にも使用できるので、常備しておくと何かと便利でしょう。
※トイレ処理袋は、介護保険の対象外です。
ここまでにご紹介してきた以外にも、日常のあらゆる場面で介護をラクにする便利グッズが多々あります。
普段の生活において介護を手助けしてくれるグッズのおすすめ3点を見ていきます。
スロープは、屋内外の段差を解消するものです。玄関の上がり框や縁側の段差、部屋間や廊下の段差に使用することで、転倒を防ぎます。 また、車いすでの移動も楽にしてくれます。
材質やサイズなどさまざまあるので、場所や状況に合わせて選ぶとよいでしょう。 自身で簡単に取りつけられるのも、嬉しいポイントです。 安い物なら数千円~あります。
※スロープは福祉用具貸与の対象のため、介護保険が適用されます。
呼び出しブザーは、家の中の離れた場所から家族を呼ぶ際などに使用します。
ボタンを押すだけでブザーが鳴り、離れた場所からでもすぐに駆けつけられるアイテムです。 ワイヤレス、防水タイプなどさまざまなものがあります。
要介護者が使用するものなので、操作は分かりやすくシンプルなものを選びましょう。
※呼び出しブザーは、介護保険の対象外です。
お薬カレンダーは、処方薬を決められた時間に決められた分量服用するよう管理できる、収納用品です。 薬の飲み忘れを防いでくれます。
1か月分(日ごと)のカレンダーや、1週間分を1日ごとに朝・昼・夜・就寝前と区切れるカレンダーなどさまざまなタイプがありますが、細かく分類できるものがおすすめです。
寝室や食事をする場所にて使用することで、効力を発揮してくれます。
※お薬カレンダーは、介護保険の対象外です。
ご紹介してきたグッズは主に「介護用品」として販売されているものですが、実は既にご家庭内にあるものの中でも、介護用アイテムとして代用できる日用品があります。
少しの工夫で介護をラクにするアイテムを見てみましょう。
フレンチボトルとは、ドレッシングやケチャップなどを入れる容器です。 オムツ交換時や入浴時などに、陰部・臀部を洗浄するためのシャワーボトルの代用品として使用できます。
フレンチボトルは100円ショップなどで安く購入できるので、チェックしてみてくださいね。
洗浄がしやすく、深さのあるトレイなら、うがい時の「うがい受け」として代用できます。
うがい等の受水容器として使用するので、しっかりと深さのあるものがよいでしょう。 幅に関しては、あまり大きすぎるものだと使いづらいため、注意してください。
車内用整理トレイや、文具・小物用トレイなどがサイズ的におすすめです。
コロッケやポテトサラダなどを作る際に使用するマッシャーは、介護食づくりにも大変役に立ちます。
固形物をつぶし、食べやすい形状にできるので、噛む力が弱くなってきた方におすすめです。
キッチンばさみも、介護食づくりに重宝します。 麺類など食べづらいものを細かく刻み、食べやすくするのに最適です。
介護に便利なグッズは、身体的負担も精神的負担もやわらげてくれるため、なるべく揃えておきたいものですよね。
しかし、費用面などを気にされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、介護用品にも一部、介護保険が適用されます。
その概要や条件、利用方法、適用される用品の例などを解説していくので、知識として取り入れ、賢く活用してください。
介護用品の中には、「特定福祉用具」に指定されている物があります。それら特定福祉用具を都道府県の指定を受けている事業所から購入した場合、購入費の補助制度が受けられるのです。
介護保険で購入できる特定福祉用具は、「貸与になじまない性質のもの(他人が使用したものを再利用することに心理的抵抗感が伴うもの、使用によってもとの形態・品質が変化し、再利用できないもの)」とされています。
つまり、「介護に必要な用具で、なおかつ利用者の肌に直接触れるもの」などが該当品です。
特定福祉用具としては、「 腰掛便座」「自動排泄処理装置の交換可能部品」「排泄予測支援機器」「入浴補助用具(入浴用いす、 浴槽用手すり、浴槽内いす、 入浴台、浴室内すのこ、浴槽内すのこ、入浴用介助ベルト)「簡易浴槽 」「移動用リフトのつり具の部分」が挙げられます。
利用限度額は、毎年4月1日から翌3月末日までの1年間で、上限10万円(税込)です。限度額を超えた分は全額自己負担となります。
上限金額までの間で、購入費の7割~9割(所得により異なる)が支給されます。 利用できるのは、在宅の要介護1~5、または要支援1~2の方です。
利用の流れは、以下を参考にしてください。
支給申請書類は、
など、書類は自治体によって多少異なるものの、この3点は必須となります。
特定福祉用具を購入する際は、まず自身で全額を負担し、後から7割~9割が補填される形となるため、その点は留意しておきましょう。
参考:どんなサービスがあるの? – 特定福祉用具販売|厚生労働省
福祉用具貸与制度とは、介護保険適用によって、福祉用具を安くレンタルできる制度です。
要介護認定、または要支援認定を受けた人が対象とされています。
支給限度額やレンタルできる物は、要介護度、要支援度によって異なります。
自己負担額は、利用料の1割(一定以上の所得額の者は2割~3割)です。
福祉用具貸与の対象品目は、下記の13品目です。
参考:どんなサービスがあるの? – 福祉用具貸与|厚生労働省
また、利用の流れは、以下のとおりです。
在宅介護では、さまざまな場面で負担を感じてしまう瞬間が多々あります。その負担を少しでも軽くできたら、より前向きな気持ちで介護に取り組めそうですよね。
日々の介護をラクにし、要介護者の気持ちに寄り添えるような便利グッズをシーン別にご紹介してきました。
気になるグッズが見つかったら、ぜひ使ってみてください。その際には、介護保険を上手に利用することがポイントです。
この記事が、既に十分頑張っているあなたを手助けできる記事となっていれば嬉しく思います。
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