202301/12
2017年7月に掲載したこちらの記事は、当サイトで一番、読まれ続けた記事になりました。
・介護保険とはどういったものなのか
・介護保険による介護サービスはどういった人が受けられて、認定にはどのような手順が必要か
・介護保険で住宅改修の費用が支給される条件と申請方法
・介護保険で手すりをつけるには
・介護保険以外の助成事業や補助金支給制度
こうしたポイントをご紹介して早5年が経過し、社会情勢や制度の内容も少しずつ変化してきています。今回は、この5年間の社会の変化や改正された制度のポイントを押さえつつ、介護保険を利用して自宅の改修等を行う方法についておさらいしていきましょう。
日本の総人口は、2022年6月現在で1億2,510万人。そのうち、65歳以上の人口は3,627万人であり、総人口に占める割合=高齢化率は29.1%となりました。65歳以上人口を男女別に見ると、男性は1,574万人、女性は2,053万人で、女性は男性の約1.3倍となっています。
日本人の平均寿命は2021年現在で、男性は81.47歳、女性は87.57歳と年々延びており、30年後の女性の平均寿命は90歳を超えると推定されています。
人は誰しも、生涯健康で生き生きと暮らしたいと願っています。しかしながら、全ての人が生涯を健康で暮らせないのも現実です。そんな時に備えて、2000年に制定されたのが介護保険制度です。
介護保険制度は、みなさんが介護を必要とする状態になった時に必要なサービスを受けられるようにするための公的社会保障制度です。介護保険制度の目的は、介護を必要とする状態になったとしても、個人の尊厳を守り、状態に応じて自立した日常生活を送ることができるよう、必要なサービスを提供し福祉の増進を図ることにあります。
万が一に備えて社会全体で介護を必要とする人の日常、更には介護する人の生活を共に守るしくみです。
介護保険制度は原則として3年ごとに見直しが行われます。高齢者が置かれる社会的状況や、介護を必要とする利用者のニーズの動向に合わせ、時代に合った制度となるよう議論が繰り返されています。厚生労働省の社会保障審議会において、介護保険制度全般及び介護報酬や運営基準などが検討され、その議論に基づいて法改正や改定の方針が決定されます。
市区町村では、介護サービスに関する基本的な方向性を示した一期3年の介護保険事業計画が定められています。介護保険法第117条において、地域における必要なサービスの種類や量、市区町村が取り組むべき施策など、計画に定めなければならない項目も決められています。
日本全国どこの市区町村でも必ず定められておりますので、お住まいの地域の計画を一度ご覧になってみてください。
ご自身またはご家族が要介護認定を受けて、多くの方が最初に出会うのは「福祉用具のレンタル」と「住宅改修」です。福祉用具をレンタルする目的は、介護が必要な人の日常生活をしやすくしたり、機能訓練を行うなど日常生活の自立をめざす上での補助としたりすることにあります。また、介護をする人の負担を軽くするためにも大いに役立ちます。
住宅改修は、家の中の段差などをなくすことで日常生活における怪我を防いだり、手すりを付けることで介護が必要な人の自立した生活を支えたりする目的で行われます。
介護が必要な人に適した福祉用具を選ぶために、購入ではなくレンタルできる制度を活用することで使用感を確認できます。専門の知識を持った福祉用具専門相談員の資格がある人に相談してみてもいいでしょう。
福祉用具のレンタルについては、2018年10月より介護保険の給付対象となる上限額が設定されており、金額は自治体によって異なりますので、お住まいの市区町村の制度をご確認ください。
厚生労働省が定めるレンタルできる福祉用具は以下の通りです。※2022年12月1日現在
①車いす(付属品含む)
②特殊寝台(付属品含む)
③床ずれ防止用具
④体位変換器
⑤手すり
⑥スロープ
⑦歩行器
⑧歩行補助つえ
⑨認知症老人徘徊感知機器
⑩移動用リフト(つり具の部分を除く)
⑪自動排泄処理装置
住宅改修については、介護保険の給付対象となる上限額は全国一律で20万円とされています。これは、20万円が支給されるわけではなく、上限額20万円の工事費のうち、利用者の所得に応じて7~9割の補助を受けることができるという意味です。
対象となる住宅改修の種類は、以下の通りです。
①手すりの取付け
②段差の解消
③滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
④引き戸等への扉の取替え
⑤洋式便器等への便器の取替え
⑥その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
給付を受けるには改修前に申請が必要ですので、介護支援専門員(ケアマネージャー)等に相談しましょう。住宅改修の手続きは、以下のような流れで行います。
住宅改修費は、以前は工事後に保険給付の申請をしていましたが、介護保険が適用されるからと業者に言われるがまま工事をし、実際には保険対象外の工事が多く含まれていて高額の自己負担が生じるなどのトラブルが発生したため、現在では上記の図のような流れで住宅改修を行うよう、制度の改正が行われました。
住宅改修の給付を受けられる回数は原則一人1回となっていますが、要介護度が3段階以上重くなった場合、また、転居して住所が変わる場合は再度給付を受けることができます。
介護保険制度は介護される人と介護する人、両方の日常を社会全体で支える制度です。介護が必要な状態にならないに越したことはありませんが、万が一必要となった時には上手に活用し、より良い毎日を過ごしましょう。
参考
世界一わかりやすい介護保険のきほんとしくみ 2021―2024年度版/ソシム
図解で早わかり 共生型サービスにも対応!介護保険・障碍者福祉のしくみ/三修社
在宅介護応援ブック 介護保険活用法Q&A/講談社
2022年(令和4年)10月報 人口推計/総務省統計局
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