201702/01
高齢者にとって、気をつけなければいけない自宅での転倒・転落事故。内閣府の調査では、60歳以上の人の約1割が、1年間に転倒・転落を経験したというデータをこちらの記事で紹介しました。しかも、そのうち40%は「何度も転んだことがある」と回答しています。
では、自宅で転ぶとどうなってしまうのかを、ここでは見てみましょう。同じく内閣府の「平成22年度 高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果」によると、自宅で転んだ際に「けがはなかった」と答えた人は、全体の33.3%。言い換えると、全体の66.7%、つまり3人に2人はけがをしていることになるのです。
出典:内閣府「平成22年度 高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果」を元に作成
けがの内容を見てみると、一番多いのが「打撲」で、自宅で転んだ人全体の32.3%。続いて「すり傷・切り傷」「ねんざ・脱臼・突き指」と続きます。そして、注目したいのは骨折した人の多さで、その割合は8.7%になります。つまり、自宅で転んだ人の約1割が、骨折しているというショッキングな結果に。
また、けがはなかった人と骨折した人の割合を年代別に見てみると、やはり高齢になるほど骨折の多いことがわかります。骨の強度が低下して骨折しやすくなる「骨粗しょう症」の、日本人の有病率は60歳代で約20%、80歳代では約50%にのぼるともいわれており、こうした方が転んでしまうことで、骨折を起こしてしまうのです。
出典:内閣府「平成22年度 高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果」を元に作成
ちなみに、骨粗しょう症には女性の方がなりやすく、有病率は男性の2~3倍。一方、骨折した人の割合を男女で分けると、男性は4.5%、女性は10.9%と、やはり因果関係があるようです。
そして、骨折はそれだけにとどまりません。長期にわたって生活が不自由になるだけでなく、下半身の骨折が原因で長期にわたって寝たきりの状態となることも。こうした場合、足腰の筋肉が弱くなるため、骨折が治った後も歩けないなど、介護が必要な状態になってしまうこともあります。
厚生労働省の調査によると、40歳以上の要介護者について、介護が必要となった原因に「骨折・転倒」を上げた人は、40~64歳では2.4%なのに対し、75歳以上では10%、90歳以上では15%を超え、年齢ととも増えていることがわかります。
出典:「平成25年 国民生活基礎調査」(厚生労働省)を元に作成
これまで骨折についてお話ししてきましたが、怖いのは骨折だけではありません。
2010年には俳優の谷啓さんが自宅の階段で転倒し、脳挫傷によって亡くなった例をはじめ、頭部を打つことで硬膜化血腫や頭蓋内出血などを起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。転倒した直後の検査で異常がなくても、毛細血管などの損傷で徐々に出血し、数日~数週間後に症状が出るということもあるので、しばらくの間は定期的に検査を受けるなど、十分な注意が必要です。
このように、自宅での転倒・転落事故は、けがをした人の生命をも左右する重大な事故になってしまうことが多いといえます。
「注意一秒・怪我一生」とは、まさにこのこと。転倒・転落しないように、住み慣れた自宅といえども、足下に注意する、階段や廊下を歩く際は手すりにつかまるなど、常日頃から用心することが大切ですね。
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