202112/01
新型コロナウイルスの影響によって、外出が制限される昨今。高齢者がいるご家庭では、在宅時間の増加、筋力低下によって転倒・転落事故を心配する方も少なくありません。
安全に生活をするための対策として、高齢者自身の体力作りはもちろん、自宅内の廊下や階段などに手すりを取り付けるリフォームを行うことが挙げられます。
今回は、手すり取り付けにかかる費用の相場について、場所別にご紹介をします。
自宅で過ごす時間が多くなった今こそが、ご家族が快適に暮らすためにリフォームを考えるタイミングだといえます。その理由と、現状についてみていきましょう。
新型コロナウイルスの影響で、自宅で過ごす時間が増えました。巣ごもり生活によって、感染症を防ぐことができる一方で、ある不安の声があがってきています。
それは住宅内で起きる転落・転倒事故です。特に要介護者・要支援者や、自宅介護が必要な高齢者がいるご家庭で、心配されている方が多いのではないでしょうか。
こちらの記事で紹介した通り、内閣府の調査によると、60歳以上の人の約1割が1年間に転倒・転落を経験しています。また3人に2人はけがをして、その1割が骨折をしているという調査結果もあります。
⇒ 詳しくはこちら
『高齢者の1割が自宅で転倒を経験!防止のカギは「手すり」にあり』
『人生のピンチ!寝たきりや要介護につながる「骨折」の怖さ』
自宅は安心して過ごすはずの場所にもかかわらず、コロナ禍で在宅時間が増え、高齢者の筋力低下も進み、予期せぬ事態のリスクは以前よりも高くなっていると考えられるのです。
転落・転倒事故を防いで、安心して自宅介護をするには、どうすればよいのでしょうか。
まずは住宅のどこで、どんなシーンで事故が起きやすいのかを知ることです。
夜間の廊下や浴室内など、移動しづらかったり、体が不安定になったりする状況が思い浮かぶのではないでしょうか。
高齢者が自宅内で転倒しやすい場所については、内閣府の調査から屋内での転倒が約2/3を占めており、75歳以上では「段差のない屋内」(居間、茶の間、リビング、寝室、廊下など)での転倒が多いことがわかっています。
⇒ 詳しくはこちら
『「段差のない室内」が一番危険!?住みなれた自宅でも油断は禁物!』
高齢者の健康状態や生活動線によって、危険な場所は異なります。ご自身の家庭で考えてみてください。簡単な質問でわかる「転倒危険度診断」を公開しているので、こちらでチェックしてみましょう。
転落・転倒事故が起こりうる場所が確認できたら、次は対策を講じます。
今回は、住宅をバリアフリー化する手段として、手すりに注目します。
総務省による「住宅・土地統計調査」を引用した記事では、住宅内への手すり設置率は40.8%で、階段においては約26%というデータを示しました。
手すりは転倒・転落事故を防ぐために、有効にもかかわらず、まだ設置率が低い状況です。まだ対策の余地はあるのです。
しかし、設置したいと考えていても、高いリフォーム費用がかかるイメージがあるかもしれません。
実際に手すりの取り付けにかかる費用はどのくらいなのでしょうか。次にその取付費用の相場についてみてみましょう。
イメージを持ちやすいように、取付費用の算出方法と、家庭内のリフォーム場所別に相場を解説します。
手すりの取付費用には、材料費と工事費がかかります。この2つを合わせた価格が、リフォームにかかる総額です。場合によっては、出張費・交通費や諸経費(廃材処分費・運搬費など)がかかることもあります。
詳しい費用は施工業者にコンタクトをとって、見積りを出してもらいましょう。会社によって価格設定が異なります。
複数の場所をリフォームするケースでは、割引が適応されることもあります。
また最近では、手すりをリーズナブルに手に入れられるサイトがあります。その一つが、住宅建材アウトレットサイトの「建材サルベージ」です。
こういったサイトで仕入れることで、材料費を抑えることもできます。
①玄関
玄関の限られたスペースでは、1m以内の長さの手すりを使うことがほとんど。この場合、1~3万円が相場です。
また玄関に階段がある住宅は下地工事で穴をあけて、支柱を打ちこむ工事をしなければなりません。工事には7~8万円がかかり、手すりの材料費を含めると10~13万円が目安となります。
②廊下
1mあたり1~3万円が目安です。廊下は住宅によって長さが異なります。事例として多いのは下地処理費を含めて、6~8万円です。ご自宅の廊下の長さを測って、算出をしてみましょう。
③階段
1階から2階まで階段用の手すりを設置する場合は、5~10万円が相場です。手すりの素材は木製、ステンレス、プラスチックなどがありますが、木製の手すりを使うケースで想定しています。
階段の左右両側に、上から下まで切れ目なく手すりを取り付けることで、もっとも安全性が高くなります。片側のみの場合は、降りるときに聞き手側になる位置に設置します。
また取付作業だけではなく、壁の状況によっては補強工事をしなければならない場合もあるので、ご了承ください。
④浴室
お風呂場での取付費用は、1.5~2万円前後が目安です。
設置場所としては浴室内だけではなく、脱衣所や洗い場があります。浴室に適した手すりには、L型や逆T字、縦型、横型といった種類があります。転倒予防や移動に適したものを選びましょう。
浴室は滑りやすく、体のバランスが不安定になりやすい場所です。浴室などの移動を安全にするために、最適な手すりを設置してください。
⑤トイレ
3万円~が相場です。トイレには、I型とL型が適しています。立ち座りするのか、車椅子から移動をするのか、個室内での動きに応じた手すりを選びましょう。
また壁面の強度がない場合は、補強工事をしなければなりません。ほかにも複数箇所に設置する場合は、追加費用が発生します。
おおよそ10万円までが費用の目安となります。
相場観がわかっても、高額だからこそリフォームは悩んでしまうものです。そんなときに利用できる助成制度があります。3つのポイントで説明します。
介護保険を利用すれば自己負担10%の費用(上限20万円)で手すりを付けられることを、こちらの記事で詳しく解説しています。
自治体が主体となって減税制度も設けられています。
所得税額の控除や固定資産税の減額、贈与税の非課税などの措置を受けることができます。制度の要件や条件は地域によって変わるので、お住まいの地方自治体に問い合わせてみましょう。
減税制度のほかにも給付・助成制度が地方自治体ごとにあります。
一例として、「高齢者住宅整備補助」(三鷹市)や「高齢者住宅改修費給付事業」(大阪市)、
「2020年度健幸すまいリフォーム助成事業」(新潟市)が挙げられます。
今回は手すり取り付けにかかる費用の相場を、場所別に紹介しました。高齢者がいるご家庭は、ぜひ参考にしてみてください。施工業者によって価格設定は異なりますので、よく検討したい方は数社の業者に見積りをとって比較してみてもよいでしょう。大切な家族の安全を守る工事ですので、単に価格だけではなく介護リフォームに詳しい業者に依頼されてはいかがでしょうか。賢く助成制度も利用しながら、安心して過ごせる住まい環境を整えていきましょう。
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